愛犬の胃腸トラブルとは?原因、症状、治療法を徹底解説

動物病院を受診する理由の中で最も多いものは、
下痢や嘔吐をしている、食欲がないといった胃腸のトラブルだと思われます。
食いつきの良い愛犬が食事を残したり、
何度も吐いたりする様子を見たら、とても心配ですよね。
このコラムでは、犬の胃腸トラブルについて、
どういった症状を示すのか?また治療法や予防法などをご紹介しています。
『よくおなかを壊すから、どう対処するといいか知りたいな!』という飼い主様は、
ぜひチェックしてみてください。
毎日同じ生活スタイルでも、おなかを壊すことはある
『いつもと同じ食事でとりわけ変化はないのに、下痢や嘔吐をする』
このようなことはよくあります。
毎日同じように生活を送っていても、
飼い主様のちょっとした行動パターンの違いや
わずかな温度変化などに対して、
敏感に反応していることが理由の一つだと思われます。
また、病気ではなくとも、食事の変更や生活環境の変化、
季節の変わり目などは、愛犬が胃腸を壊しやすい傾向にあります。
犬の胃腸トラブルを生じる病気とは?

・犬に多い胃腸の病気:急性胃腸炎と大腸炎
犬に生じる胃腸の病気は非常にたくさんありますが、
特に多く見られる病気として、急性胃腸炎と大腸炎があります。
急性胃腸炎は読んで字のごとく、急性に嘔吐や下痢を生じ、
数日~数週間程度で良化する一過性の胃腸炎のことです。
大腸炎はゼリー状の粘液便が出て、
血便やなんどもトイレに行くそぶりが見られますが、
通常は薬の投与によって数日程度で良化します。
いずれも原因としては、細菌やウイルス感染、誤食や傷んだ食事を摂った…
など多々ありますが、ほとんどの場合特定することはできません。
・子犬に見られる胃腸トラブル:誤食と感染症
子犬においては、おもちゃや中毒物質の誤食、
寄生虫など感染性の胃腸炎がよく見られます。
特に、飼育を開始して数日後に発症することが多く、
急激に悪くなることも多いため、速やかな治療が必要とされます。
・高齢犬に多い消化器トラブル:腫瘍とホルモン異常
高齢の犬では腫瘍やホルモンの異常が原因となる消化器症状もよく見られます。
症状が緩やかに進行するため、気づきにくいケースも多く、
健康診断等で発見されることも多々あります。
・免疫異常が関わる胃腸疾患
免役の異常が関わっている胃腸炎も存在し、
炎症性腸疾患(IBD)や食物アレルギーがそれに当たります。
IBDは胃腸に慢性の炎症を起こす原因不明の病気であり、
中高齢以降の犬でしばしば見られます。
消化器症状が長く続き、一般的な胃腸炎の治療では改善しませんが、
免疫抑制剤を用いた治療に対して良好に反応する特徴があります。
食物アレルギーによる消化器症状も最近ではよく見られ、
強いかゆみや赤みなど皮膚の症状も同時に出ることが多いです。
膵臓や肝臓、胆のうも消化器の一つですので、
胃腸のトラブルの際には、たくさんの臓器について考えなくてはいけません。
胃腸が悪いサインはたくさんある
・食欲がない、下痢や嘔吐をするなどは分かりやすい胃腸トラブルのサインだと思います。
ただ、胃腸が悪いときに愛犬が見せる症状はとても多く、
・白や黄色の泡を吐く
・吐きそうなのに吐けない
・震える
・パンティング(ハァハァする)
・背中を丸める
・伸びの姿勢をする
・キュルキュルおなかが鳴る
・うずくまって動かない
・抱っこすると鳴く(通称:抱きキャン)
・血便、ゼリー状便
・体重減少
…などと、状態により様々なサインを示します。
何度も吐く、ぐったりしているなどは、
早く受診すべき状態と認識する飼い主様が多いと思います。
ただ、よく食べるけど吐く、ガツ食いだけど痩せているといった場合などは、
経過を見てしまうこともよくあり、受診時には状態が著しく悪いことも多々あります。
また、何となく元気がない、いつもと様子が違うといった
分かりづらいサインを示すこともあります。
愛犬はちょっとした変化を飼い主様に伝えていますので、
変調を感じたら速やかな受診をおすすめします。
胃腸疾患の診断は超音波検査が必須
胃腸のトラブルに対して、リアルタイムで胃腸の動きや状態を観察できる
超音波検査は必須であり、得られる情報はとても多くあります。
あわせて、便検査や血液検査、レントゲン検査や造影検査なども行い、
総合的に胃腸トラブルを診ていくようになります。
また、内視鏡検査は麻酔をかけて行う検査ですが、
おなかを切らずとも胃腸の状態が把握でき、
一部の組織をとって病理組織学的検査を行うこともできます。
内視鏡検査は慢性的な消化器症状がある場合には必須の検査となります。
治療法は症状に合わせて決定

一般的に、胃腸疾患に対しては、
薬での治療が中心となります。
胃腸の動きを良くする(穏やかにする)、
胃酸の分泌を抑える、
吐き気を抑える薬や抗生物質、
下剤などを症状に合わせて用います。
療法食といい、病気を治療できる効果を持つ
ドッグフードを併用することもあります。
また、食物繊維や発酵食品を積極的に摂取し、
消化器症状の改善を図ることもあります。
誤食や腫瘍などが原因のときは
外科的に取り除きます。
日頃から食いつきやうんちの状態をチェックしよう!
胃腸のトラブルは日常的によく見られます。
元気や食欲があり一過性のものであれば、経過を見ても問題なことは多いです。
愛犬の不調は、食いつきやうんちの状態などに現れます。
異変を感じたらすぐに動物病院を受診するようにしましょう!
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