犬の混合ワクチンは何種がいい?5種・6種・8種・10種の違いと選び方

犬の混合ワクチンには、5種・6種・8種・10種など、いくつかの種類があります。
動物病院で案内されたものの、「何種を選べばいいの?」「数字が多い方が安心なの?」と迷ったことはありませんか。
混合ワクチンの“種数”は、予防できる感染症の数を表しています。
ただし、すべての犬に10種が必要というわけではありません。室内中心で過ごす犬、ドッグランによく行く犬、山や川に出かける犬では、必要な予防の考え方が変わります。
この記事では、犬の混合ワクチンの基本、5種・6種・8種・10種の違い、愛犬に合った選び方、接種前後に気をつけたい体調管理について解説します。

犬の混合ワクチンとは?
犬の混合ワクチンとは、犬同士の接触や環境中から感染する病気を予防するためのワクチンです。
代表的なものには、犬ジステンパー、犬パルボウイルス感染症、犬伝染性肝炎、犬アデノウイルス感染症、犬パラインフルエンザなどがあります。これらは、感染すると重症化することもあるため、ワクチンによる予防が大切とされています。
ここで混同しやすいのが、狂犬病予防注射との違いです。
狂犬病予防注射は、犬の飼い主に対して、犬の登録・年1回の狂犬病予防注射・鑑札と注射済票の装着が法律で義務付けられています。
一方で、混合ワクチンは、法律で一律に義務付けられているものではありません。
狂犬病予防注射は法律で定められた予防接種ですが、混合ワクチンは愛犬の生活環境や感染リスクに応じて、獣医師と相談しながら選ぶワクチンです。
5種・6種・8種・10種の違い
混合ワクチンは、製剤によって含まれる病気の種類が異なります。
以下は、一般的な目安です。
| 種類 | 一般的に含まれる主な感染症 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 5種 | 犬ジステンパー、犬パルボウイルス感染症、犬伝染性肝炎、犬アデノウイルス2型感染症、犬パラインフルエンザなど | 室内中心、外出が少ない犬 |
| 6種 | 5種に犬コロナウイルス感染症などが加わることが多い | 一般的な散歩、他の犬との接触がある犬 |
| 8種 | 6種にレプトスピラ感染症の一部の型が加わることが多い | ドッグラン、旅行、アウトドアがある犬 |
| 10種 | 8種よりレプトスピラの型が多いことが多い | 山・川・キャンプ・自然の多い地域に行く犬 |
ただし、ワクチンの中身は製剤や動物病院によって異なります。
「5種」「8種」と書かれていても、実際に何が含まれているかは製剤ごとに違うため、かかりつけの動物病院で確認しましょう。
数字が多いほど良いわけではない
混合ワクチンは、種数が多いほど予防できる病気の範囲は広がります。
ただし、「数字が多い=すべての犬にとって最適」というわけではありません。
混合ワクチンには、多くの犬に推奨される基本的なワクチンと、地域や生活スタイルによって必要性が変わるワクチンがあります。
たとえば、レプトスピラ感染症は、川・田んぼ・山・野生動物がいる場所などでリスクが上がるとされているため、アウトドアや旅行が多い犬では検討されることがあります。
そのため、「何種が一番いいか」ではなく、愛犬の暮らしに合った内容を選ぶことが大切です。
また、ワクチン接種後には、いつもより眠そうにする、元気が控えめになる、食欲が落ちるなどの変化が見られることがあります。多くの犬は大きな問題なく過ごせますが、体質や年齢、体調によっては注意が必要です。
そのため、「念のため全部」ではなく、愛犬にとって本当に必要な予防を見極めることが大切です。
特に、シニア犬、持病がある犬、過去にワクチン後の副反応があった犬は、接種の種類やタイミングについて、獣医師とよく相談しましょう。

愛犬の暮らし別・選び方の目安
室内中心・散歩は近所だけ
室内で過ごす時間が長く、散歩も近所が中心の場合は、5種や6種が候補になることが多いです。
ただし、外出が少なくても、散歩中に他の犬と接触することがあります。また、地域によって感染症の発生状況が異なるため、「室内犬だから最低限で大丈夫」と自己判断せず、動物病院で相談しましょう。
ドッグラン・トリミング・ペットホテルを利用する
ドッグラン、トリミングサロン、ペットホテルなどを利用する犬は、他の犬との接触が増えます。
このような場合は、6種以上を検討するケースが多くなります。
また、施設によっては、混合ワクチンの接種証明書が必要になることもあります。
利用予定の施設がある場合は、事前に「何種以上のワクチン証明書が必要か」を確認しておくと安心です。
山・川・キャンプ・旅行によく行く
山や川、キャンプ場、自然の多い地域へよく行く犬は、レプトスピラ感染症を含む8種・10種が候補になりやすいです。
レプトスピラは、野生動物やネズミなどの尿で汚染された水や土壌を介して感染することがあります。水辺や田んぼ、山道などに行く機会が多い犬は、生活環境を獣医師に伝えたうえで相談しましょう。
シニア犬・持病がある犬
シニア犬や持病がある犬は、年齢や体調によって判断が変わります。
毎年同じように接種するのではなく、過去の接種歴、体調、生活環境、必要に応じて抗体検査なども含めて、獣医師と相談することが大切です。
「今年も去年と同じでいいですか?」ではなく、
「最近は遠出が減りました」
「ドッグランには行かなくなりました」
「持病の薬を飲み始めました」
など、暮らしや体調の変化も伝えるようにしましょう。
ワクチン接種前に確認したいこと

ワクチンは、愛犬の体調が安定している日に受けることが大切です。
接種前には、次のような点を確認しておきましょう。
- 食欲はいつも通りか
- 下痢や嘔吐はないか
- 元気があるか
- 発熱や咳はないか
- 皮膚のかゆみやアレルギー症状はないか
- 過去にワクチン後の副反応がなかったか
少しでも気になる様子がある場合は、無理に接種せず、動物病院に相談しましょう。
特に、前回のワクチン後に顔が腫れた、ぐったりした、嘔吐した、強いかゆみが出たなどの経験がある場合は、必ず事前に伝えてくだ
ワクチン接種後の過ごし方
ワクチン接種後は、いつもより少し眠そうにしたり、元気が控えめになったりすることがあります。
当日は、激しい運動、長時間のお出かけ、シャンプーなどは避け、ゆっくり過ごせる環境を整えてあげましょう。
食事は、特別なものに急に変えるよりも、食べ慣れた消化にやさしいごはんを基本にするのがおすすめです。
また、水分も大切です。
あまり水を飲まない犬には、いつものごはんに少し水分を加える、スープを少量使うなどの工夫もできます。
体に負担がかかりやすい日は、何か特別なことをするよりも、いつも通りの安心できるごはんと、静かに休める時間を用意してあげることが大切です。
こんな症状があれば動物病院へ
ワクチン接種後に、次のような症状が見られる場合は、早めに動物病院へ連絡しましょう。
- 顔が腫れる
- ぐったりしている
- 呼吸が苦しそう
- 何度も吐く
- 下痢が続く
- 強いかゆみがある
- 食欲不振や元気のなさが長引く
特に、顔の腫れ、呼吸の異常、強いぐったり感、繰り返す嘔吐などは注意が必要です。
「少し様子を見よう」と迷う場合でも、まずは動物病院に電話で相談すると安心です。
犬の混合ワクチンで大切なのは、愛犬の暮らし方や地域の感染リスク、年齢、体調に合わせて選ぶことです。
室内中心なのか、ドッグランに行くのか、山や川で遊ぶのか。
そうした日々の過ごし方によって、必要な予防は変わります。
愛犬に合ったワクチンを選ぶためにも、自己判断せず、かかりつけの獣医師に相談しながら決めていきましょう。
そして接種前後は、無理をさせず、いつも通りの食事と十分な休息で、体をやさしく見守ってあげてください。
▼ この記事を書いた人 ▼

ハミルトン葉奈(株式会社Enuncia 代表取締役)
無添加ドッグフードブランド Ishca オーナー。
愛犬の健康を第一に考え、安心・安全なフード作りに取り組んでいます。幼少期から犬と共に暮らし、ペット栄養学やフードの開発・品質管理について学んできました。「食は命」という理念のもと、Ishcaを通じて多くの飼い主の方に正しい情報を届け、愛犬との豊かな暮らしをサポートしてまいります。

