水が苦手な犬もいる?水が好きな犬との違いとやさしい慣らし方

夏になると、愛犬と海や川、プールで遊びたいと考える飼い主さんも多いのではないでしょうか。
水を見つけると喜んで飛び込む犬がいる一方で、水たまりさえ避けて歩く犬もいます。
また、同じ犬でも、海には入れるのにシャワーは苦手、雨の日の散歩は平気なのに足を洗われるのは嫌がる、ということもあります。
犬が水を怖がる理由は、犬種だけでは決まりません。
これまでの経験や性格、水の音、足元の感触、濡れることへの違和感など、さまざまな要因が関係しています。
今回は、水が好きな犬と怖がる犬の違いや、無理なく水に慣れてもらうための方法をご紹介します。

水が怖い犬は珍しくない
「犬はみんな泳げる」と思われがちですが、すべての犬が水を好きなわけではありません。
海やプールに入りたがらない、水たまりを避ける、浴室に入ろうとしない、シャワーの音を聞くと逃げるなど、水に対する反応は犬によってさまざまです。
水そのものが怖い場合もあれば、シャワーの音や水圧、浴室の床、体を押さえられることなど、特定の状況を苦手としている場合もあります。
たとえば、水辺で遊ぶのは好きでも、シャンプーは苦手という犬もいますよね。
この場合は、水が嫌いというよりも、音や場所、体の濡れ方に不安を感じている可能性があります。
まずは、愛犬が何を怖がっているのかを観察してみてください。
理由が見えてくると、無理なく慣らすための方法も考えやすくなります。
犬が水を怖がる主な理由
犬が水を怖がる理由のひとつに、水に触れる機会が少なかったことがあります。
これまで水遊びをしたことがない犬にとって、海や川、プールは未知の場所です。
体が濡れる感覚や、足元が見えにくい状況に戸惑い、慎重になることがあります。初めて水に入る犬が立ち止まるのは、不自然なことではありません。
また、水の音や勢いが苦手な犬もいます。
特にシャワーを怖がる場合、水そのものではなく、大きな音や水圧に驚いていることがあります。
顔や耳の周りに突然水がかかることも、犬にとっては不安につながります。
足元の感触も大きなポイントです。
浴室やプールの底は滑りやすく、犬にとっては踏ん張りにくい場所です。
足が滑った経験や、床に爪が当たる音がきっかけとなり、その場所を怖がるようになることもあります。滑りにくいマットを敷くだけで、落ち着ける犬もいます。
他にも、過去に怖い経験をしたことが、水への警戒につながることもあります。
突然水をかけられた、深い場所へ入れられた、足を滑らせた、無理にシャンプーされた。
こうした経験があると、「水の近くに行くと怖いことが起きる」と覚えてしまうことがあります。
また、性格や年齢によっても反応は変わります。
好奇心が強く、新しいことに積極的な犬もいれば、慎重に安全を確認してから行動する犬もいます。
シニア犬の場合は、体力や感覚の変化によって、以前は平気だった水や滑りやすい場所を不安に感じることもあります。
「前はできたのに」と考えるより、その時々の体調や年齢に合わせてあげたいですね。
水が好きな犬との違いは?
水辺で仕事をしてきた歴史を持つ犬種には、水に親しみやすい傾向があります。
たとえば、ラブラドール・レトリーバーやゴールデン・レトリーバー、ポルトガル・ウォーター・ドッグなどは、水辺での作業や回収作業に関わってきた犬種として知られています。
そのため、水に入ることや泳ぐことに抵抗が少ない犬が多いです。
一方で、泳ぎやすさには体格も関係します。
足が短い犬、体の重心に特徴がある犬、鼻の短い犬などは、水中で姿勢を保ったり、呼吸をしながら泳いだりすることが難しい場合があります。
泳げるかどうかは、気持ちだけでなく体のつくりにも左右されます。
ただし、水辺で活躍してきた犬種なら必ず水が好き、というわけではありません。
同じ犬種でも、水を見つけると喜んで入る犬もいれば、足先が濡れるだけでも嫌がる犬もいます。
反対に、水と関わりの深い犬種でなくても、子犬の頃から楽しい経験を重ねていれば、水遊びが好きになることもあります。
犬種はあくまで傾向のひとつです。
「この犬種だから水が好きなはず」と決めつけず、その子自身の性格や経験、体の特徴を見てあげることが大切です。

水を怖がっているときのサイン
犬は言葉の代わりに、表情やしぐさで不安を伝えています。
水の近くでその場から離れようとする、体を低くして動かなくなる、尻尾を足の間に巻き込む、耳を後ろへ倒す。
こうした様子が見られるときは、緊張しているサインかもしれません。
震える、飼い主さんによじ登ろうとする、呼吸が速くなる、普段は好きなおやつを受け取らない場合もあります。
おやつを食べられないほど緊張しているときは、不安が強くなっている可能性があります。
このような様子が見られたら、一度水から離れて休ませてあげてください。
「もう少し頑張れば慣れる」と続けたくなることもありますが、怖い経験として残ってしまうと、次回さらに嫌がるようになることがあります。
無理に続けるよりも、怖くなる前に終わらせるほうが、次のよい経験につながりやすくなります。
水に慣れてもらうときは、「できた量」よりも「怖い思いをせずに終われたか」を大切にしたいですね。
水に慣れてもらうためのステップ
水が苦手な犬には、いきなり水に入れるのではなく、段階を分けて慣れてもらうことが大切です。
お風呂が苦手な犬なら、まずは水を使わずに浴室へ入る練習から始めます。
中に入れたら褒めたり、おやつを与えたりして、「ここに来ても怖いことは起きない」と感じてもらいます。
浴室に入るだけで緊張する場合は、入り口の近くで過ごすだけでも十分です。
無理に奥まで入れず、犬が落ち着いていられる距離から始めてみてください。
次に、足先が少し濡れる程度にします。
いきなり体全体を濡らすのではなく、足先に少量の水が触れるところから始めると、犬も受け入れやすくなります。
プールの場合も、水を浅く張り、犬が自分から出入りできる状態にしておくと安心です。
嫌がったら、すぐ乾いた場所へ戻れるようにしておくことも大切です。
逃げ場があることで、犬は落ち着きやすくなります。
シャワーの音や勢いが苦手な犬には、いきなり直接シャワーをかけないほうが安心です。
最初は洗面器や濡らしたタオルを使い、体を少しずつ濡らしていきます。
慣れてきたら弱い水流から始め、顔や耳ではなく、足元や背中など、犬が受け入れやすい場所から濡らしていくとよいでしょう。
大切なのは、犬が自分から近づくのを待つことです。
抱き上げて水へ入れたり、後ろから押したりすると、逃げられない怖さが残ってしまうことがあります。
好きなおもちゃやおやつを使いながら、犬が自分で一歩進むのを待ってあげてください。
最初は数秒でも十分です。
短時間で終わらせ、落ち着いていられたことを褒めてあげると、水に対する印象が少しずつ変わっていきます。
水遊びをするときの注意点
犬が水を好きでも、安全に泳げるとは限りません。
初めて泳ぐ犬や、海・川で遊ぶ犬には、体に合った犬用ライフジャケットを着けると安心です。
泳ぎが得意に見える犬でも、急に疲れたり、水から上がる場所を見失ったりすることがあります。
水辺では、必ず飼い主さんが近くで見守ってください。
いきなり深い場所へ入れず、水から上がれる場所を事前に確認しておくことも大切です。

川で遊ぶ場合は、流れの速い場所を避けます。
見た目には穏やかに見えても、場所によって急に深くなっていたり、足元が滑りやすかったりすることがあります。
海では、波の高さや潮の流れにも注意が必要です。
波を怖がる犬もいますし、遊んでいるうちに体力を消耗することもあります。無理に長く遊ばせず、疲れる前に休憩を入れてあげてください。
また、海水やプールの水を飲ませないように気をつけましょう。
水遊びをするときは、新鮮な飲み水と日陰を用意しておくと安心です。
遊んだあとは、真水で体を洗い流します。
海水や砂、プールの成分が被毛や皮膚に残ると、かゆみや違和感につながることがあります。
被毛や耳の周りも、やさしく乾かしてあげてください。
特に耳が垂れている犬や、皮膚がデリケートな犬は、濡れたままにしないよう気をつけたいところです。
水嫌いは克服しなければいけない?
愛犬が水遊びを好まなくても、無理に泳げるようにする必要はありません。
水辺を歩くだけで楽しめる犬もいれば、涼しい室内で遊ぶことを好む犬もいます。
ほかの犬が楽しそうに泳いでいると、「うちの子もできるようになったほうがいいのかな」と感じるかもしれません。
でも、水遊びが好きかどうかは犬によって違います。
大切なのは、飼い主さんがやらせたいことよりも、愛犬が安心して過ごせることです。
ただし、足を洗う、シャンプーをする、雨の日に体を拭くなど、日常のお手入れで水が必要になる場面はあります。
そのため、まずは、「怖い思いをせずに必要なケアができる」ことを目標に、少しずつ慣れてもらうとよいでしょう。
水遊びが好きな犬には、安全に楽しめる環境を。
水が苦手な犬には、無理をさせず、必要なケアだけをやさしく。
その子に合った距離感で、水と付き合っていけると安心です。
犬が水を怖がる理由は、犬種だけでは決まりません。
過去の経験や性格、水の音、温度、足元の感触、体の濡れ方などによって反応は変わります。
大切なのは、ほかの犬と比べないことです。
嫌がる愛犬を無理に水へ入れず、その子のペースを尊重してあげてください。
Ishcaは、アイルランド語で「水」を意味する言葉から生まれた名前です。
命を支える大切な水が、愛犬にとって安心できる存在であるように。
それぞれの愛犬に合った、水とのやさしい付き合い方を見つけてあげたいですね。
▼ この記事を書いた人 ▼

ハミルトン葉奈(株式会社Enuncia 代表取締役)
無添加ドッグフードブランド Ishca オーナー。
愛犬の健康を第一に考え、安心・安全なフード作りに取り組んでいます。幼少期から犬と共に暮らし、ペット栄養学やフードの開発・品質管理について学んできました。「食は命」という理念のもと、Ishcaを通じて多くの飼い主の方に正しい情報を届け、愛犬との豊かな暮らしをサポートしてまいります。

