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なぜIshcaは鹿肉を使うのか


Ishcaのフードは全て鹿肉を使用しています。

「鶏肉バージョンはないの?」「他の肉は使わないの?」というお問い合わせをいただくこともありますが、結論として、今後も別の肉を使った商品を展開する予定はありません。

なぜなら、私たちが鹿肉を選んでいる理由は、「犬の体にいい食材だから」だけではないからです。

いま、私たちの足元で何が起きているのか。
捕獲された命が、どのように扱われているのか。

その現実についてお話ししたいと思います。

いま、何が起きているのか

Ishcaが拠点を置く京都府京丹後市では、ここ数年、鹿の頭数の増加が特に著しく、
夜道を走っていて鹿に出会わない日はない、と感じるほどです。

実際に、年間3,500頭以上の鹿が捕獲されています。

鹿が増えすぎたことで、農作物への深刻な被害や、獣害対策にかかる個人・行政双方の財政的負担など、
数値として把握できる被害も年々深刻化しています。

しかし、問題はそれだけではありません。

山の下草や木の皮が食べ尽くされ、土壌が崩れ、水源の汚染が起きる。
さらに、農業従事者の生産意欲が削がれていく。

こうした数値では表すことのできない影響が、いま、地域全体に静かに広がっています。

鹿は、ただ「山にいる動物」ではなく、
人の暮らしと、土地の循環に直接影響を与える存在になっているのです。

捕獲の先にある問題


さらに深刻なのは、捕獲されたその後です。

京丹後市だけでも、捕獲された鹿の約80%が食材として活用されることなく廃棄されています。
主な理由は、加工・処理体制が追いついていないことにあります。

しかし、背景を辿ると、問題はそれだけではありません。
そこには、現場の事情や制度の構造が大きく関わっています。

有害鳥獣捕獲の現場では、鹿を捕獲した証拠としてしっぽや耳、あるいは捕獲時の写真を提出し、
それをもとに捕獲報償金が支払われます。

この仕組みでは、「捕獲したことを証明する」ことが報償金の要件であり、
鹿を加工処理施設へ運び、活用するところまでは求められていません。

さらに、猟師の高齢化が進む中、山から重い鹿を下ろし、処理施設まで搬送することは、
体力的にも時間的にも大きな負担となっています。

その結果、捕獲されたあとの鹿が、十分に活用されないまま山に残されてしまうケースが増えています。


そして、そのことが、別の問題を生んでいます。

山に残された鹿の死骸を食べて、クマが肉の味を覚え、人里に近づく。
獣害を防ぐための捕獲が、新たな獣害のリスクを高めてしまう。
そんな連鎖も、いま、現実に起きています。

地域を守るために捕獲された命が、資源として扱われる前に役割を終えてしまうだけでなく、
地域全体に、さらに別の悪循環を生み出している。

この現実を正す責任は、人にあると思うのです。

命をどう扱うのか、という問い

鹿の数が増えすぎていることも、それが地域に深刻な被害をもたらしていることも、事実です。

クマの件でも動物愛護についてさまざまな声が上がりましたが、
人の暮らしを守るために、人の手である程度その数をコントロールしなければならない場面があることも、現実として受け止める必要があると思います。

しかし、鹿を捕ること自体が目的になってしまってはいけないと思うのです。
獣害対策で設置されている目標捕獲頭数を達成するだけではなく、本当に問われているのは、
「捕獲された命を、私たちはどう扱うのか」という視点ではないでしょうか。

日本には、「いただきます」という言葉があります。
それは、ただ食べる前の挨拶ではなく、命への感謝、
そして食材として口にするまでに関わった人や時間への感謝を含んだ言葉です。

私たちが食事のとき、自然と手を合わせて「いただきます」と口にするその気持ちを、
鹿の命に対しても向けるべきだと、Ishcaは考えています。

増えすぎた鹿を、ただ「獣害問題」や「負担」として処理して終わらせるのではなく、
未利用資源として、もう一度価値を与え直すことはできないか。

Ishcaが鹿肉を選んだ理由は、この問いに向き合うためです。

鹿肉の栄養や特徴については、こちらで

もちろん、Ishcaが鹿肉を選んでいる理由は、地域課題や思想だけではありません。

鹿肉には、

  • 脂質が少なくタンパク質が豊富なこと
  • ビタミンBが豊富なこと
  • アレルギーが起こりにくいこと
  • 化学飼料を与えられていない自然なタンパク源であること


といった、食材としての確かな特性があります。

こうした鹿肉そのものの栄養や特徴については、
こちらページで詳しくご紹介しています。

▶︎ [厳選素材]

Ishcaからのメッセージ

鹿肉を使う理由は、
ただ「良い食材だから」だけではありません。

いま、地域で起きていることにどう向き合うのか。
捕獲された命を、どう未来につなげていくのか。

Ishcaは、その問いからフードづくりを始めています。

▼ この記事を書いた人 ▼

ハミルトン葉奈(株式会社Enuncia 代表取締役)
無添加ドッグフードブランド Ishca オーナー。
愛犬の健康を第一に考え、安心・安全なフード作りに取り組んでいます。幼少期から犬と共に暮らし、ペット栄養学やフードの開発・品質管理について学んできました。「食は命」という理念のもと、Ishcaを通じて多くの飼い主の方に正しい情報を届け、愛犬との豊かな暮らしをサポートしてまいります。


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